1851376 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

Romance夢紀行

Romance夢紀行

LOVER UNLEASHED あらすじ BDB#9 (前編)

2020.10.13 更新
​​<あらすじ>Payne, twin sister of Vishous, is cut from the same dark, seductive cloth as her brother. Imprisoned for eons by their mother, the Scribe Virgin, she finally frees herself-only to face a devastating injury. Manuel Manello, M.D., is drafted by the Brotherhood to save her as only he can-but when the human surgeon and the vampire warrior meet, their two worlds collide in the face of their undeniable passion. With so much working against them, can love prove stronger than the birthright and the biology that separates them?
※ ※ ※ ネタバレあり ※ ※ ※ 
序章 1761年 古国
遷移から5年。クスコーの目の前で父は殺されました。そのときの一行は6人組と一人で、スロー、サイファ、いとこ3人組、と自分。そして正式なブラックダガーブラザーフッドである父ブラッドレターでした。彼らは兄弟団というわけではありませんでしたが、ブラッドレターによって選別された戦士グループで、儀式や市民からの崇敬、絆のようなものは一切なし。血筋は強いものでしたが、一族から見捨てられたリ、私生児だったりしました。そのため彼らは戦で名をあげることで一族に貢献していることを示してきました。彼らの掟はただ一つ。仕えるのは、かの主人のみ。

レスニングソサエティのやり口は、村一つを制圧し、男たちは変化させ、女子供は殺すか売り飛ばし、次の村へ向かう。ブラッドレターの一団はレッサーを求めて村へ向かいます。レッサー達や村人たちが襲ってきて、反撃します。クスコーは大鎌を振るい、人間二人の首を飛ばし、他のメンバーの助勢に向かいますが、そちらでも激しく打ち合っていました。戦闘が終わると、寝間着姿の女性が飛び出してきて村人の遺体に縋ろうとしますが、ブラッドレターが馬で駆け寄り彼女を鞍の上に攫います。彼女で楽しむつもりかとクスコーが見ていると、同族の女性が現れ「ヴィシャス」と言うとブラッドレターを馬から引きずり下ろし、身体から光を放つと、彼を生きながら燃やします。クスコーが彼女の顔を見ると、ブラッドレターにそっくりの黒髪、白い肌、輝く眼差しでした。彼女は去り、遺体は頭蓋骨と灰くらいしか残りませんでした。クスコーは、このことを今後一切口外を禁じる。ブラッドレターは交戦中に亡くなった。遺体はクスコーが身に着けるため燃やしたということにする。今後は俺がお前たちの主だと宣言すると、他のメンバーたちは彼らの前に剣を突き刺し、服従を誓います。たとえ命を失おうと、あの女を探し出し、父の復讐を遂げるぞ。

第1章 マニー・マネロは自分の持ち馬のレースを見にNYに来ていました。馬主席で観戦していましたが、ストレートコースに入り、後ろから猛然と追い上げ優勝かと思われたところで足をもつれさせ、ひどく転倒してしまったのをみて、自分の馬のところへ駆けつけますが、外科医の彼には大変なことになったと一目でわかりました。ジョッキーは涙を流し、すぐにもがく馬に鎮静剤がうたれましたが、足の骨折部分をみるとまわりのスタッフは首をふります。もうレースには参加できない、処分するしかないとマネロに言おうとしますが、言いかけたスタッフにお前は消えろと言い渡し、彼女をすぐトラックから出して治療するんだと指示します。この1年、自分の正気を疑いながら気にかけていた唯一の女性の悼み、大嫌いなスコッチを浴びるように飲んでんできて、さらに馬は失えない。彼の人生に残されたものは多くない。

第2章 ヴィシャスは自分に妹がいた! それも300年もの間、母親によって隠されていたという事実に呆然としています。そして必要とあらば自分がマネロをエスカレードに放り投げ、パインの元に連れ帰って治療させるのに、太陽に足止めされていて、シェランのジェーンが自分の代わりに出掛けているので心配しています。すでに母親に生皮をはがれる思いをさせられているのに、この嘘をVは許せるかわかりません。

パインが呼びかけてきて、彼女をみると盲目のラス以外誰もが気づく彼との相似性に目が留まります。髪と瞳、肌の色、背が高く細身でしっかりした身体つき、そして目の奥には彼と同じ知性が光っています。

私がこちらに来ない方がよかった? と言われ、そんなことがあるはずあるか、と強く否定します。妹が苦しんでいるのに助けてあげられず、どう話していいのか思考が止まっています。

パインは何年監禁されたか聞いてくれる? 何百年もよ。自分の脚を見やり、これ以上閉じ込められることには耐えられない。言っている意味、わかるわよね? Vはブッチとジェーンがそばにいてくれるようになってから感じることのなくなっていた気分が舞い戻ってくるのを感じます。わかった、そうなったときには俺がすべて面倒をみると約束します。

パインはVのことを聖域の水鏡でずっと見守っていました。彼が歩まされた道は・・・。冷静な表情に隠された激怒が彼女には感じられます。手を握ってほしいと思いましたが、これ以上のことは頼めないと遠慮しています。治療師のことを教えてと頼むと、絆の香りが漂ってきて、彼は一番の腕利きだ。ジェーンは彼のことを神みたいに考えていると教えてくれます。

第3~5章 ジェーンは昔の職場の聖フランシス病院でマニーを探します。彼がどんなに驚くかと思うと思わず笑いが漏れそうになります。でも彼は困っている患者を見放したりしないとわかっていました。病院におらず、行きつけのジム、そしてコンドミニアムに行きますが、彼はおらず、病院の呼び出しシステムを使い、彼の留守電にハンナ・ウィットの名前で連絡してほしいと残しますが、連絡がなく途方にくれます。

マニーは、動物病院でレントゲンを睨み、骨が粉砕されているのを確認しました。馬の場合、手術を借りに乗り切れたとしても、手術後の管理も問題で、重い体重を残された脚で支えないとならないため、他の脚の怪我や骨折に繋がることも往々にあります。それでも担当医に手術をしてください、と頼みます。マニーは手術室で主治医の手術をサポートし、馬はなんとか手術を乗り越え、ひとまず麻酔から目覚めたときに頑張ったなと声をかけます。容体に変化があれば一番に知らせますからと言われ、ひとまず帰宅することにします。

途中、ジェーンの墓に立ち寄り、墓碑銘をみていて、休暇中だからと無視していた留守電に残された名前がジェーンの妹の名前ハンナ、そしてウィットコムの省略形ウィットではと気付き、電話してみます。ジェーンはマニーの見覚えのある番号から着信があるのに気づき、通話ボタンを押しますが、彼の声が聞こえてきて声が出なくなりますが、後ろから聞こえてきた音で彼がどこにいるかに気付き、何も言わずに電話を切って現地に向かいます。

ジェーンが駆けつけると、マニーはまだジェーンの墓の前にいました。彼女が「本当にごめんなさい」と声をかけると、腰を抜かしますが、その後素早く立ち上がると激怒しはじめます。あなたの怒りももっともだけど、助けてほしい患者がいるの。あとからいくらでも説明するから助けてもらえないと頼みます。

マニーは、愛車ポルシェで死んだと思っていた以前の同僚ジェーン・ウィットコムによって彼を必要としている患者のいるどこかへと連れていかれます。彼女の結婚指輪をみて苦い思いがこみ上げます。奇妙な霧を抜けると高い塀に遮られ厳重に警備された館が現れ、これは政府が関係している場所に違いないと感じます。館から出てきたあごひげのある男をみてマニーの頭が割れるように痛くなりますが、ジェーンと彼は言い争いを始め、彼には治療をしてもらえる状態でいてもらわないとと言っているようです。頭痛を押してあごひげ男を睨むと、記憶がよみがえってきました。6つの心室のあるジェーンの患者、彼が画像を取りに来たこと・・・。彼からは敵意が感じられますが、二人に先導され、いくつもの扉を抜けて手術室にやってきます。

お前は外で待っていてくれとVに指示して、患者に近づくと、マニーは一目で彼女が彼の女性だと感じます。彼女に会うために、今まで誰とも恋に落ちなかったのだ、と。痛みで朦朧としている彼女を観察すると、シーツのかけられた彼女の身体は鍛え上げられた戦士の身体で、もしも車いすでの生活になれば、生きる喜びが半減してしまうだろうと想像し、俺が治してやる、と決意し「俺を信頼してほしい」とパインの手を握ります。

第6章 クインは初めて一人で飲みに出かけていました。ブレイとサクソンは手をつなぐとか思わせぶりな仕草は一切見せないものの、食事が終わるとふたりで部屋にこもってしまい、ジョン・マシューは伴侶を得たばかりで、戦闘が休みの日はゼックスとベッドを酷使している。ゼックスはシンパスの暗殺者で、彼女の男を守るには十分な能力を備えていることは実証済で、館は厳重に警備されているため、ジョンとクインは密かに申し合わせ、ゼックスと一緒のときは警備を離れていることにしました。

バーでお酒を浴びるように飲んでいると、いい感じの男性がそばに来ました。いままで赤毛の相手には絶対に近づかなかったものの、今日だけは別。残念ながらストレートの男性のようですが、女性を交えればいいとクインは思っています。

第7章 マニーは館の手術室では必要な設備が足りないと判断し、パインを聖フランシス病院へ連れていくという決断を下しますが、ヴィシャスが反対し、立ちふさがります。そこにラスが現れ、彼女の怪我は俺の責任だ。医師が必要と思うことをさせろ、お前は王に従えと命令をくだします。ジェーンも優しくあなたは治療を邪魔している。私もいるし、ブッチに付き添ってもらって、パインが一人きりになることは絶対にないと約束するからと説得します。フューリーがメンバーのなかでは一番人間の記憶を操作する能力が高く、応援に駆けつけてくれています。ヴィシャスは手術が失敗すれば二度と生きて会えないかもしれないと思い、パインの顔を見に行くと紙のような顔色で、はじめて彼女の手を握りしめます。

第8章 古国 現在
クスコーは父が殺された近くに城を見つけ、そこを根城にしていました。石作りの城と城壁、橋があって守りやすく、村人は5万人ほどいますが、付近の街道ではヴァンパイアが出るという噂を流して隔絶された地域に仕立てています。

彼は父たちと以前ヨーロッパ中をレッサーを追跡して回っていましたが、最近ではまったくレッサーたちをみなくなり、兄弟団たちが新天地へ移転していったのにつられて彼らが犬のようについていったためにヨーロッパにはもういないのではないかと考えるようになっています。

城の中は何百年と変わりがなく古めかしい様子で、配下のスローからは電子機器をそろえた部屋を整えてほしいと言われていますが、クスコー自身は字が読めず、その必要性が感じられませんが、確かに人間たちは好んで利用している技術のようなので検討しています。

彼らは戦闘技術を鈍らさないために、女性や子供の虐待者や殺人者などをターゲットにしていましたが、この20年レッサーが現れず退屈しています。副官のスローは英雄願望があるようで、今回はロンドンで11人女性を殺害し、その後死姦したという新聞らしき写真入りの記事を持ってきて、次のターゲットはこいつでどうだろうと提案してきます。彼自身はとんとそういった気持ちをもったことがなく、強く考える女性といえば父を殺したあの女性ですが、スローには最終的に同意します。旅に出るか。

第9~10章 パインが目覚めるとそばにマニーがついていてくれました。ジェーンが来てあと1時間もしたらラスが来るから、退院できるとパインにいうとマニーがとんでもない、あと1週間は入院しないとならないのにと反対します。あとは私がとパインがいうと、ジェーンは外で待っているからと席を外します。

そうだ、ジェーンに君がどうしてそうしたのかわかったと伝えてくれ、とパインに頼み、よければ君が何なのか教えてほしいと言います。パインは逡巡しますがヴァンパイアと告白します。君は俺の記憶を消してしまうんだろう、今後何かあったら必ず連絡してくれと携帯番号を書いた名刺を渡すと、パインは髪の毛の三つ編みをほどいて欲しいと頼み、マニーが途中までほどいたところで、名刺を髪のなかに編み込んでくれたら、隠せるから編みなおしてと頼みます。

パインが私からもなにか渡したいといい、マニーがキスがいいと言います。どうやるの?と聞かれ、ヴァンパイアはキスをしないのかと思いますが、パインが私は人間の男性に近づいたのも初めてだし、男の人にも近づいたことがないからといわれ、マニーの密かな欲望は頂点に達し、手術着で隠せないほど高まり、思わず後ずさると、彼女は悲しそうな顔をしますが、マニーはいますぐにやらなければならないことをやってくれ。でないと君を傷つけてしまうと言います。

第11章 Vは昔からの習慣で、ねぐらとは別に趣味のおもちゃを置く場所を用意していて、いまいるコンドミニアムの展望階の半分の部屋は5年ほどまでに建築中の段階で購入したものでした。すべて黒で統一された部屋にずらっと並ぶギャグや鞭などの道具は初心者向けのものではなく、彼は達人として知られていましたが、ジェーンと付き合うようになって変身したのかと思うほど支配したり、傷つけたいというような欲望が自分のなかから消えていました。でもそのボタンは突然スイッチが入ってしまったようです。

ジェーンと付き合う前は、ドムとしてサブを従えていましたが、それは何をされるかわからないという立場に自分を置きたくないためで、Vはサブの気持ちがわからないままでした。自分で自分を傷つけるなら? と思い付き、蝋燭を自分にたらしてみます。のけぞるほどの快感で楽しんでいると、ジェーンからパインの手術が無事終わったと連絡が入りました。自己嫌悪を感じながら、状況を聞いていると、ジェーンは私はあなたがどういう人かわかって伴侶になったの。早く帰ってきてと言われます。

マニーは抱いて欲しい、と美女に頼まれ、彼女はキスをしたことがないんだからまずキスをしなければと不思議なことに思いますが、キスを交わし、身体を交えます。夢から目覚めるといつも仮眠をとる病院のソファでしたが、奇妙なことに手術着には血が飛び散り、手術用のスニーカーを履いていました。明け方の4時、動物病院を出てからいままで何をしていたんだろう、だれか手術をしたんだろうかと思うと猛烈な頭痛が押し寄せます。この頭痛が起こったのは確かジェーンがいなくなる前にも頻繁に起こったと思うとまた猛烈な頭痛がして、シャワーを浴びることにします。
 
夢の女性のことを思うたびに猛烈な頭痛に襲われますが、欲情を処理しても、まだ状態がかわらず、なにか病院で変なウィルスでも拾ってしまったんだろうかと思います。シャワールームを出てくると、なにか濃厚なスパイスのような香りが漂っています。彼のコロンとは違う匂いで、隣の部屋も確認しますが、とくに匂いの元は見当たりません。新しい手術着に着替え、部屋を出ると、なんとなく処置室に足が向きます。途中から頭痛がひどくなってきますが、無理に足を進め部屋にはいるとそこには誰もいませんでしたが、かすかな香りが感じ取れ、また頭痛に襲われ、倒れ込むとベッドの下に折り曲げられた名刺が指にさわります。なぜだかそれが自分のものだとわかっていました。帰宅しようと駐車場にいくといつもの場所にポルシェがなく、ポケットには鍵も財布もありません。頭にきて歩いていると、一般客の駐車場に見覚えのあるシルエット、ナンバーの車が停められていて、ドアを開けると座席の下に財布と鍵が残されていて、けむにまかれた気分です。警備員が大丈夫ですか、と聞かれますが、記憶の穴がぽっかり開いていてもその場は大丈夫というしかありませんでした。

第12章 ピットでは、ブッチとジェーンがヴィシャスのことを心配しています。1時間以上前に電話したのに、まだ帰らないとジェーンが言い、ブッチが様子を見に行ってみると言って出かけます。

ブッチがコンドミニアム近くまでくると、レッサーの存在が感じられました。もしかして帰宅が遅れているのはレッサーと戦っているからか?と考え急いで駆けつけると、レッサーたちにチェーンで身体を巻かれて、ヴィシャスが攻撃されていました。その気になれば、非実体化していくらでも逃れられるのに、わざと傷つけられているようで、血だらけです。何を考えているんだ! とブッチは激怒し、レッサーたちを始末し、ヴィシャスを解放します。

パインは目覚めるとこちらの世界にきて最初に連れてこられた部屋で三つ編みの一部がほどけて横たわっていました。種族が違うマニーのことを考えますが、たとえ二人の関係を王が許してくれたとしても、ヴィシャスが彼との関係を赦さないだろうと思います。彼とこれ以上関わり合うと、さらに消さなければならない記憶が増えて彼の負担になる。彼女は自分で髪をほどいて名刺を病室に置いてきていました。

ジェーンが部屋に来てくれたので、ヴィシャスのことを聞くと、出かけているけれど戻ってくると言われます。ジェーンが心配そうに見え、あなたは彼にぴったりの伴侶よ。彼のことは水鏡を通してずっとみてきたのと言います。ジェーンが彼は独立していて踏み込めない部分があると言い、父親のブラッドレターのことを訊ねると、あいつは私が殺したわ、ヴィシャスにやったことの報いとしてと教えてくれ、私たちはあなたがヴィシャスの伴侶になったときに血族になったのだから、あなたとの話は私の心のうちに納めておくからと言い、一人の男性を愛する二人の間には強い絆が生まれたようです。

マニーがすべて許すと言っていたとジェーンに伝えると、ほっとした様子でした。彼に伴侶がいないとジェーンに教えてもらいパインは嬉しく思いましたが、彼の女性のタイプは金髪で足が長くて胸のあるバービータイプと聞いて、自分は黒髪細身のまったくかけ離れたタイプだし、自分には何の権利もない相手のことなのに、独占欲でうなり声が漏れてしまいます。

第13章 クインは想定していたように、4人でプレイをしおわり、女の子たちがこれから食事にいかない、とか連絡先を交換してとか言ってくるのを煩わしく思っていました。赤毛の男性をみやるとシンクのところにいたため、彼のところへいきドアのカギをしめます。じっとみつめると、君はゲイじゃないっていったじゃないかと言われますが、クインに欲情しているのは隠せませんでした。彼と関係したあと、日の出が近いため帰宅しますが、ずっと誰かさんの初めてを欲しいと思っていたのに、そいつは他のやつと関係してしまい、その心の穴を赤毛の誰かで肩代わりさせようとしても無駄なんだと思っています。クインはオッドアイとして生まれてから家族にずっと一族の名折れ、血統を汚すものとしてけなされてきて、最後には追い出されました。彼自身の性的な指向は知られていなかったのに。ブレイは強い、だけど誰かを自分の伴侶だと公に宣言することを考えると・・・怖気づいてしまいます。玄関から帰宅すると、ちょうど食事に降りてきたブレイとサクソンはきちんとしたスーツにカフスをはめ、きちんと正装していて自分との違いを感じさせられ、ブレイは自分のことをチラともみずに食堂へ入っていきました。みんなと顔を合わせる気分ではなく、訓練室にむかいランニングマシーンで鬱憤をはらします。

第14章 ブッチとヴィシャスはピリピリした雰囲気で館に着くと、ピットに向かいます。お前はどこまでやるつもりだったんだとブッチが詰問すると、途中でやめたさ、ころあいは心得てるとヴィシャスが言いかえします。そのつもりでも、こういう状況はコントロールできなくなるものなんだ。ジェーンに話せ!といいますがシェランにそんなことは話せないとヴィシャスが抵抗します。いまの俺に必要なのはサブじゃなくドムなのに、そこまで信用できる奴がいないんだ! と告白します。ブッチなら信用できるものの、それはいくつもの一線を越えてしまうことになり、その線は越えられません。

ヴィシャスはシャワーを浴びて血を洗い流しますが、鏡に映った自分をみてたじろぎます。全身あざだらけで、片目は晴れ上がりゆがんでいます。あざはタートルネックで隠れるものの、顔は隠せないため、パインの容体が安定しているようなら心配させないように腫れがひくまで彼女たちと距離を取ろうと考えます。

眠ったパインに付き添っていたジェーンにヴィシャスから帰宅したという携帯メールが届きます。すぐに顔をみせに来ないのはおかしいと思い、彼を探しにとんでいきます。ヴィシャスの顔の怪我に驚かされ、誰かと一緒にいたの?と聞きますが、すぐにそんなことはないとはっきり否定されホッとします。ヴィシャスにはいろいろ難しい部分があっても、嘘をつく人ではないとジェーンは知っています。

第15章 ホセ・デ・ラ・クルス刑事はゴミ箱に遺棄された遺体の捜査に新しいパートナーのトーマス・デルヴェッキオ刑事と来ていました。遺体はコーカサス系の女性で、10代後半から20代前半。目はくりぬかれ、唇をポケットのペンでそっと開けてみると歯もすべて抜かれていて、手首や脚などに拘束のあとがみられます。おそらく長期間にわたり犯人に拘束され、いたぶられたことが推定されます。そして殺害現場はここではないため、どこから運ばれてきたかもわかりません。全米には行方不明になっている女性が多すぎる。ヴェク刑事に、最近ニュースみたか、11人連続殺人事件の手口と似ている。ひょっとするとこの事件もそいつの仕業かもしれん。パートナーには刑事ではなくデラクルスとよんでもらって構わないのに、そこまで関係ができるほど長続きできず交代していきます。自分のことをホセと呼んでいたあいつは3年前に失踪したきりだと思い出しています。

遺体のことを通報してきた録音を通信係から転送してもらいホセ刑事が聞いてみると、ボストン訛りの声で、彼は全身が震えてきます。彼はおそらくブッチの遺体を発見することになるだろうと思いながら、空の酒のボトルとピザの空き箱いっぱいの部屋を通ってシャワールームを開けたときのことの思い出します。家族が行方不明になってしまった人の気持ちがホセにはよくわかります。手掛かりがなく、もうほとんどあきらめた今になって・・・。南ボストン訛りの人は何千人いるかもしれないが、彼の訛りは真似できないものがある。ホセは殺人犯を捕まえてやろうと思いますが、同時にブッチを探し出すときがきたと思います。

第16~17章 頭痛が始まってから1週間。マニーはジェーンに関することを考えると頭痛が始まると気づきはじめていました。彼は痛みを無視し、生活をしていましたが、病院に出勤したときになぜか足が向く方向があり、そちらへ進むと頭痛がひどくなることに気付き、さらに進むとそこは回復室でした。ジェーンが事情はいま話している暇はないの。助けてほしいといっている景色が頭に浮かびます。そして回復室に顔はわからないけれど、自分の患者さんがいた記憶があり・・・ドアを開けてみると年配の患者さんがいました。看護婦がやってきて先生、どうしたんですか。今日はもう帰宅されるといって午前中にかえられたのに、というと今は朝だと思っていたマニーは驚きます。先生、誰かに家まで送らせましょうか、と言われますが、大丈夫だといい帰宅することにします。

ジェーンは悪夢で悲鳴を上げたところをヴィシャスに起こされます。1週間というもの、ヴィシャスは彼女と距離を取っていて一緒に寝ていません。普段はお互いに自立心旺盛で感情的に寄りかからないのがちょうどよい距離感の二人ですが、今回のような状況では上手く働いていません。

ヴィシャス、こんなことを聞いて本当に申し訳ないんだけれど、あの日誰かといたの?とついにジェーンは聞いてしまい、ヴィシャスは誓うよ、本当に他に誰もいなかったと断言します。ジェーンはそういって欲しかったのと安心します。二人には話し合うべきことがありましたが、ジェーンを愛したい気持ちがヴィシャスに高まってきたのを感じて、ジェーンは私たちふたりにはこれも大事なこと、と熱く愛を交わし、ぴったりと抱き合うことで、二人のギクシャクした雰囲気も消えました。

16か国語を操れても、弁解の言葉もみつからないとヴィシャスがいうと、いいの、わかっているからとジェーンは言います。

第18章 手術から1週間、パインはベッドの上でジェーンに教えられたリハビリ用の動作を額に汗がにじむまで繰り返していましたが、ちょっとした拍子に手が水のはいったグラスにぶつかってしまいました。赤ん坊のように世話してもらうのが嫌で、自分で片付けようと、ベッドの横の手すりを下し、手すりにつかまって感覚のない下半身をベッドから手で降ろし、床に屈みこもうとしますが、手がすべり頭から床に転落してしまいます。助けて・・・。

部屋に入ってきたジェーンが状況に気付くと、すぐエレーナを呼び寄せ、パインをベッドに戻してくれますが、パインはヴィシャスを呼んで頂戴と頼みます。約束を果たしてほしいからと言うと、ジェーンはその約束の内容を想像し、もし想像が予想通りであるなら、おそらく崖から飛び降りる一歩手前のヴィシャスを今度は引き止めることはできないだろうと思います。ジェーンはヒポクラテスの誓いをずっと守り続けていました。もしも双子の妹を自分が殺したら、ヴィシャスはどうなってしまうだろう、でも彼にそれをさせることはできないと思います。

ヴィシャスがミーティングを終え、今日はシフトから外れているためパインを外に連れ出そうかと考えながら回復室に入ってくると、ジェーンがパインに針を刺そうとしているところで、何をしている!と駆け寄ります。これは私の意思なの。母に監禁されていたように、この身体に囚われていたくない。私の意思よとパインが言います。ヴィシャスは2時間だけ待ってくれと懇願します。彼自身が嫌悪する手段であろうとも、なんとしてでも翻意させてみせる。ヴィシャスは針をとりあげポケットにしまうと、剣を取り出しパインの手のひらと自分の手のひらに傷をつけ、2時間たっても気持ちが変わらなければ死ぬ権利を認めるとお互いに誓います。急いで部屋を出るヴィシャスにジェーンが追いすがりますが、今は自分でも何を口走るかわからないから君と話せない。時間がない、といって駆け出していってしまいます。

第19章 マニーはアルツハイマーの患者はこんな気分だろうかと思いながら部屋にいます。あの記憶のない夜。あれから始まっている。競馬場にいたこと、馬のグローリーが転倒したこと、手術のことは覚えているのに、コードウェルで何があったか思い出せない・・・。手術ができなくなったらどうしたらいいんだ。部屋に影がさしました。影は大男になり、何かに噛みつかれたようにマニーは座席から立ち上がると窓をあけ、4月の夜の冷たい風を部屋にいれます。相手が彼を嫌っていることは伝わってきましたが、マニーは不思議と恐怖心がありませんでした。なぜならこいつは彼女の・・・。黒い髪の毛を編んだ女性の顔が浮かび・・・ひどい頭痛が襲ってきます。ここに来るべきじゃなかったとヴィシャスはいいますが、マニーは毎晩彼女の夢を見ているんだ。彼女のところへ連れていけ。ヴィシャスは毒づきながら手をあげると、マニーの記憶が戻ってきました。妹に会ってやってくれ。そうでなければ彼女は死ぬだろうとヴィシャスに言われるとまだ彼女は麻痺が残っているのかと確認し、すぐに連れて行ってくれと頼みます。彼の女性のところへかけつけなくては。

パインが部屋にいると、重い足音が二つ近づいてきました。君に会わせたい人がいる、ヴィシャスがどくと、後ろからマニーが現れました。君は現実に存在するってわかってた! 書の聖母さま・・・パインの目から涙があふれます。席を外してくれ、とヴィシャスに言うと、ふざけたことをいうなと反応されます。俺に診察してほしいんじゃないかとマニーが聞くと、馬鹿な事いうな、ここになんで連れてきたかって、それがまさに俺がお前のことが大嫌いな理由だよ。

ヴィシャスは私の気持ちに気付いていたんだわ。自分たちの母親よりも、彼女に生きたい気持ちをかきたててくれる存在だから。ありがとう、お兄さん、とヴィシャスに言うと、お前のためなら何だってしてやると言って部屋を出ていきます。ドアの閉まる音と共に、お前を愛してるとその言葉抜きで伝えられたんだとわかります。時として行動は言葉より勝る。

===========
Father Mine J.R.ウォード(BDB#6.5) ​なんちゃってあらすじ
LOVER AVENGED J.R.ウォード(BDB#7) なんちゃってあらすじ ​前編​ ​後編
LOVER MINE J.R.ウォード(BDB#8) なんちゃってあらすじ ​前編​ ​中編​ ​後編
短編集「Dead After Dark」"The Story of Son" by J.R. Ward​ パラノーマル読み切り作品 ​なんちゃってあらすじ
​その他の洋書あらすじをチェック


© Rakuten Group, Inc.